ワーキングホリデーでカナダのモントリオールに住んでいました。
フランス語は全く話せずに生活していました。それでも生活に支障はほとんどなく、「フランス語の勉強は必要ないかな?」と当初は思ってました。
しかし、実際に長く住んでみないとわからないって本当ですね。
「フランス語が話せない、わからない」ことで困ることはやはりありました。他の英語圏の都市よりも厳しさを感じることも多々。
今回は、モントリオールにトータル2年ほど住んだ私が、モントリオールに行く前に「知っておきたいこと6つ」をシェアします。
知っておくべきこと1:看板や地下鉄の放送はフランス語のみ
バイリンガルの街として知られるモントリオールですが、やはりフランス語圏に変わりはありません。
そのため看板やレストランのメニューなども、「フランス語のみ」な場合も多々あります。
「Do you have English menu?」
英語のメニューありますか?
と、聞かないと出てこないこともあります。
ほとんどのレストランは英語のメニューがありますのでご安心を。でもたま〜にないことも。(笑)
さらに、地下鉄のメトロの放送は全てフランス語オンリーです。
そのため地下鉄で遅延や運休があっても、フランス語がわからないと状況が全くわからないということになります。
近くの人に状況を尋ねるか、「どうせまた遅れるんでしょ」と、悟りを開くかのどっちかです。笑(地下鉄よく遅れるし止まります)
知っておくべきこと2:ケベコワフレンチ
実は、「フランス語が話せる人」にも気を付けたいことがあります。
カナダのケベック州で話すフランス語は、「ケベコワフレンチ」として区別されています。本国フランスのフランス語と少し違います。
ケベコワフレンチは、主に発音や使われている単語が異なります。本国フランスのフランス語を勉強された方には、逆に聞き取れないこともあるようです。
ケベコワフレンチは、英語からの借用語が多く、
例えばフランス語で「車」は、「voiture」
しかしケベコワフレンチで「車」は「char(シャー)」といいます。
結構違いますよね。「Char(シャー)」は、英語の「Car」から来ています。
知っておくべきこと3:モントリオールの人たちの気性
カナダのケベック州はフランス語圏で、モントリオールを含む、そこに住むフランス語を話す人のことを「ケベコワ(Québécois)」と呼びます。あるいは、フレンチカナディアン。
彼らは少し「気難しい性格」と言われることが多く、その理由はフランス語やフランス文化を守りたい思いが強いためです。
自身のフランス語や文化に誇りを持っているので、ケベックに来て「英語だけで押し通す人」をあまりよく思わない人も中にはいます。(特に年配の方)
フランス語の簡単な挨拶やフレーズなどは、覚えておいて損はありません。
でも基本みんなフレンドリーで優しいですよ。
知っておくべきこと4:モントリオール(ケベック)の歴史
そもそもなぜ、カナダのケベック州だけがフランス語を公用語をしているのか?
それは歴史を紐解くと理解できます。
もともとモントリオールをはじめ、ケベックでは当時のフランス軍の植民地でした。しかし、18世紀半ばの「アブラハム平原の戦い」でフランス軍がイギリス軍に敗北し、支配権もイギリス軍に移りました。
その頃からフランス系カナダ人にフランス語を話すことを廃止させ、フランス文化はイギリス文化の波に飲まれていきました。
そんな中でも人口のほんとんどを占めていたフランス系カナダ人の人々は、フランス語を話すことを許されない環境下でも、自分たちの文化や言語を水面下で守ってきました。
そして1970年代に、フランス文化や言語を保護するため、ケベックの公用語が正式にフランス語に制定されたことが背景にあります。
ケベックの人たちが、フランス語を大事にしたい気持ちもわかりますね。
知っておくべきこと5:モントリオールにある言語のエリア
モントリオールがバイリンガルな都市と言われる理由の1つとして、言語のエリアがあります。
モントリオールには、フランス語を主に話す人が多いエリアと、英語を主に話す人か多いエリアがあり、大まかに分かれています。
中心地のダウンタウンを境に東はフランス語、西は英語となっています。
ダウンタウンや旧市街地も観光地のため、英語を話す人がたくさんいます。この付近でフランス語が話せずコミュニケーションで困るということはないでしょう。
しかし、東側のベリーユカム駅周辺は特にフランス語の色が強いので、まれに道を尋ねて英語が通じない場合があります。
モントリオールではほとんどの人(70%ほど)は、仏英のバイリンガルですが、東に行くほどフランス語しか話せない人の割合も高まります。頭に入れておくといいです。
ちなみにケベック州の中で、英語も通じるバイリンガルな都市というのは、モントリオールだけです。モントリオールは島ですが、この島を出るとフランス語しか話せない人がたくさんおり、完全なるフランス語圏です。
そういう意味でも、モントリオールはかなりユニークな都市ですね。観光地のケベックシティー(観光地)は英語を話す人もいますけどね。
知っておくべきこと6:モントリオールの接客用語「ボンジュールハイ」
バイリンガル都市モントリオールならではの接客用語があることをご存知ですか?
主に観光地で、カフェやレストランの店員さんがよく使うのが「ボンジュールハイ」という挨拶です。
この挨拶に、「ボンジュール」と答えればフランス語で対応し、「ハイ」と答えれば英語で対応してくれます。
すぐに英語に切り替えることのできるバイリンガルぶりが、モントリオールの歴史を彷彿とさせますね。
ちなみに私は初め「ボンジュール」と返してしまい、そのあとフランス語で対応された時は焦りました。(笑)
【実話】モントリオールであった差別?
ケベック州のモントリオールでは、フランス語に対する思いから「フランス語に固執し過ぎでは?」とたびたび物議をかもすことがありました。
実際に起こった話です。
車の事故にみまわれた妊娠中の女性が、助けを求めたにも関わらず拒否されるニュースがありました。
女性は「助けてください。私は妊婦です。車に轢かれました。」と英語で助けを求めた。しかしオペレーターの男性は、フランス語しか話すことができず電話を拒否。
その後、このことについて彼の上司が「911オペレーターには必ずしも英語を知る義務はない」と擁護したことも話題となった。
引用元:https://matadornetwork.com/life/english-speakers-discriminated-montreal-heres-happens/
このニュースで印象深かったのは、911のオペレーターに対する批判はもちろんあったものの、
「ケベック州に住んでいるのであれば、せめて「Aidez-moi!(助けて!)」と言えるくらいの基本的なフランス語を勉強するべきだったのでは」
とコメントする(擁護する)人もいたことです。
この妊婦の女性はモントリオールに引っ越してきて、フランス語の授業をとって勉強していた方のようです。しかし、事故に遭って気が動転している状況で、フランス語が出てこなかったのかもわかりません。
また女性が電話したのは、比較的小さな郊外の部署であり、中央本部に電話していたら話は違っていたかもしれません。
このようにフランス語しか話せない人や、フランス語に強い想いがある人がいます。それが度を越すと差別的にも、英語に対する敵対心ともとれてしまうことがあります。
ちょっと怖くなった方もいるかもしれません。
私はフランス語はほとんど話せませんが、差別的なこと言われたり受けたことは今のところありません。このような事例はまれです。
ほとんどの人は優しい人ばかりで、私がフランス語が話せないとわかると英語で対応してくれました。
まぁ、日本にもいますよね。こういう古風なおっちゃん。「日本語話せないなら日本に来んな!」みたいな(笑)
とはいえ、フランス語が彼らの母国語というのを頭に入れつつ、「こんにちは」とか「ありがとう」くらいは言えるようにしたいですね。
知ってると役立つケベコワフレンチの基本フレーズ
ケベックのフランス語は、本国のフランス語をちょっと違います。フランス語を勉強しても、モントリオールでは混乱してしまうかも。
今回は、ケベコワフレンチの基本のフレーズを紹介します。
あいさつ
bon matin(ボンマテ)「おはようございます」
実はこの「おはようございます」は、ケベコワフレンチならでは。
本国フランス語ではほとんどの場合「bonjour(ボンジュール)」だけ。
英語の「Good morning」の借用語です。(Bon=Good / Matin=Morning)
bonjour(ボンジュール)「こんにちは」
bonsoir(ボンソワー)「こんばんは」
基本のフレーズ
enchanté(アンシャンテ)「はじめまして」
comment allez-vous? (コマン タレ ヴ)「お元気ですか?」
Très bien merci (トレ ビィアン メルシー)「元気です」
merci beaucoup(メルシーボクー)「ありがとうございます」
Merci(メルシー)だけでもOKです。よくバスを降りる時に使ってました。
bienvenue(ビエンベニュー)「どういたしまして」
「bienvenue (ビエンベニュー)」もケベコワフレンチならではのフレーズです。英語の「You’re welcome」からきています。
フランス語だと、「Je vous en prie」(ジュヴゾンプリ)や「de rien」(ドーリエン)が一般的です。
ケベコワフレンチ食事を表す単語
本国フランス語を知っている人にとって、ちょっと紛らわしいのがこの食事の単語。
▼フランス語
▼単語 | ▼意味 |
・petit déjeuner(プティ デジュネ) | 朝食 |
・déjeuner (デジュネ) | 昼食 |
・dîner (ディネ) | 夕食 |
▼ケベコワフレンチ
▼単語 | ▼意味 |
・déjeuner(デジュネ) | 朝食 |
・dîner (ディネ) | 昼食 |
・souper (スペ) | 夕食 |
同じ言葉を使っていても、意味が違うことがあります。
同じ「déjeuner(デジュネ) 」でもフランス語だと昼食、ケベコワフレンチだと朝食の意味として使われます。
「dîner (ディネ)」も、フランス語だと夕食で、ケベコワフレンチだと昼食です。
レストランの看板やメニューを見る際は、注意が必要です。
特に本国フランス語を勉強された方はご注意ください。友達と夕食の話をしていたのに、昼食の話だったりしたら大変です(笑)
フランス語圏のモントリオールに行く前に知っておきたい6つのことまとめ
以上、「フランス語圏のモントリオールに行く前に知っておきたい6つのこと」でした。
「英語が通じるから大丈夫だろ」と思っていた方を少し不安にしてしまったかもしれませんが、観光や短期滞在であれば、全然問題ありません。
特にモントリオールはその名の通り、バイリンガル都市。観光客にも慣れていて、ほとんどの人は英語で対応してくれます。
ただフランス語や文化を大事にしている人もたくさんいるので、その気持ちをリスペクトする意味でも、ちょっとしたフランス語のフレーズを覚えておいて損はありません。
ちょっとカタコトでも、現地の人はフランス語を話そうとする姿勢に喜んでくれる人もいるものです。
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